MS-Access との戦い (ACT-III 刻印 2000)
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前の戦いから時は流れて 21世紀。まさかこの時代に US でも戦いが続くとは。
2013年頃だったと思う、日本語補習校のボランティアをやってた関係とたまたま SF で働いていたのもあって、事務所を訪問した時になにげなくそこの事務員に「高田さん、これ動かなくなっちゃったんだけど、見てもらえません?」と聞かれた。嫌な予感というか戦いの予感である。
見てみると、Windows 2000 上で MS-Access のアプリが動いているのだが、小学校低学年の名札を出力するアプリのようだった。話を聞いてみると、すでにその時には日本に帰ってしまった派遣教員の校長先生が自分で作ったアプリだとか。話を聞く限り当時は校長先生がその事務所で一番 PC に詳しく、事実アプリも作っちゃうぐらい、しかしよりによって MS-Access かよ、、、やれやれ。
さらに話を聞いてみると、昔は個人ごとに名前入りの名札を作っていたらしいが今はクラス名だけ入ってればいいとのこと、だったらWord とかで作れば良いじゃないと思い同じような名札を出力する Word ファイルを5分くらいで作ってやった。これにて Windows 2000 が走っていた PC と校長先生ご謹製のアプリを駆逐した。
しかしよくよく考えてみたら、Word で作るだけの作業を俺がやってあげる必要は無かったというのに気づいて若干後悔した。結局彼らは、校長先生の作ったアプリが動かなくなった → アプリは MS-Access で作られている → 私たちには手が出せない → 思考停止。なのである。
事務員の computer literacy はさておき、良かれと思って作ったアプリも元のコードも開発環境も無いまま放置されて使えなくなるというのは実に不幸な話だ。MS-Access というのは業務プロセスをよく知っている人が、業務プロセスをある程度自動化するためのなんちゃって開発ツールであり、プログラムを良く知らない人でもできるというのが売りだと思う。しかるに継続的にメンテしていく人がいなければ、そのシステムありきで生きている人にとっては時間とともに大きな負債になるというちょっとした教訓である。
この件は果たして戦いというほどのことでも無かったが、しかしこれは新たなる戦いの序章に過ぎなかったのである。